吉田徹(2009)『二大政党制批判論:もうひとつのデモクラシーへ』
自分がある程度意識的に政治関連の報道を見るようになった2001年頃(小泉内閣スタートのあたり)から民主党政権誕生のころまでの間に, 報道を通じて漠然と抱くようになった政治に関する4つの「イメージ」がある.
- 中選挙区制は政治資金問題の温床になる好ましくない選挙制度である.
- 政治資金問題が起きにくいとされる小選挙区比例代表並立制は優れた制度である.
- 小選挙区比例代表並立制のもと,二大政党が確立されることが望ましい.
- 二大政党制のもと,定期的に政権交代が起こることが望ましい.
第二次安倍政権下の自民党一強支配,官邸主導の政治の負の側面に関する報道を目にするようになるまで,1. から 4. は自明のものだと思っていたし,特に間違っている可能性があるとは思っていなかった.
そんな中,吉田徹氏が昨年出版した『アフターリベラル』をきっかけに氏の著作に興味を持ち,吉田徹(2009)『二大政党制批判論:もうひとつのデモクラシーへ』を読んだ. 上述した 1. から 4. が1990年代初頭までの"政治改革"によって作られたイメージでもあり, 日本の現行の選挙制度等を相対化するきっかけになる本であった.